イサムノグチの偉業に

彫刻家イサムノグチは大地を刻むように[
けっして削りとるという意味においてではなふきすさぶ風にゴミがまう札幌郊外の荒野に
山を築き、渚を作り、水を流し、人びとの集う
新天地を築きあげた。生前、彼はこのモエレ沼公園
実現をみることはなかった。残された精密な模型と
繰り返し修正された図面をもとに彼の思いは
今現実のものとなっている。
彼の思いを忠実についだ川村純一氏をはじめとする人びとの
力あってこそのことであった。イサムノグチは死しても
その情熱はこの地でつながれた。


この公園での圧巻は「海の噴水」
一日に2回だけ「噴水」のショーがある。およ1時間の噴水のショーは息をもつかせぬ迫力にみち
激しくふきあげては波打った水が、最後に、元通り池の底にすいこまれた時、
名残惜しさと、感動とでしばらく立ち去ることを忘れる。
噴水の池のスケールも50メートルに迫る大きさだが
その湖面ごと、地球の自転の力との相乗効果で波打ち渦巻く壮観は
イサムノグチならではのものである。芸術の域を超え
まさに造物主の手になる感がある。
この噴水の原型はアメリカにもあるそうだが、彼の死後
この噴水装置の設計を引き継いだ技術の素晴らしさにも敬服する。

モエレ沼公園ーいつまでも語りつくせぬさまざまな魅力をもった素晴らしい公園。
公園というよりは、ランドスケープという、大地の造形、大地の芸術。
地球のものである故に人びとみんなのためにある。愛に満ちた場所なのである。