モエレ沼公園

かねてから思いはあってもなかなかたどりつけなかった場所
モエレ沼公園イサム・ノグチの最後の仕事。
幸いなことにイサム・ノグチの仕事を
彼の没後にひきついで完成にこぎつけた川村純一氏の
ご案内でみることができた。
札幌郊外のゴミの埋め立て地であった川に囲まれた沼沢地に
ノグチは「ここぞ!」というあつい思いをいだいたという。
地球上のこの地に夢の新天地を描く思いであったと思う。
それはまさに氏の志を継ぐ人びとの手で完成された。
私たちが訪れた夏の初めの日、雨模様の中モエレ山頂上には
すさまじい風がふきあれた。ノグチの情熱がそのまま
い続けているかの様なドラマチックな吹きようであった。
ふもとに下ればケロリとして穏やかにしずまっていたのだから。
この地にノグチはさまざまな人の訪れを予想して
できうる限りの工夫をほどこした。
海のない市民のための渚は夏の日のリゾートであり
水辺のユートピア。水鳥も集まりそうなたたずまい。
でも清掃には力をいれているという。
随所におかれた遊具も造形的に美しいものでありながら
子供たちの冒険心をよろこばせる。広々とした公園のあちこちには
人びとの集える仕掛けがかくされて
市民のみんながここで楽しめる場所となった。
それでも樹木の生長具合あなどをみるかぎりはまだまだ発達途上。
これからも市民にみまもられつつ
市民とともに成長してゆく公園なのだとおもう。